英会話の勉強法まとめ④文法編

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文法

 

日常英会話において文法の勉強が必要か必要でないかはいつも議論になります。

多くの人が必要か必要でないかの二択で議論を始めますが、必要でない時と必要になる時がある、というのが正しいと思います。

 

語源学習や英英辞書の時にも言いましたが、手を出すタイミングが重要なのです。

 

「いや、タイミングも何も、英会話に文法の勉強なんていっさい必要ないよ! 文法を意識しすぎてしゃべられなくなるだけだよ!」

 

と言い切る人がいます。

もちろんそういう方たちの言うとおり、文法の勉強をいっさいしないで英語でスラスラ話せるようになることは可能ですよ?

英語圏で生活していたり、配偶者や恋人が英語ネイティブで、英語にどっぷり浸かっていられる環境があるならね。

 

でも日本在住で、普段は仕事に忙しく、一日のうち英語に触れられるのはMAXで2,3時間、という人にも同じことが言えますか?

ネイティブの子供たちは日常のさまざまな場面を見て、さまざまな出来事を経験しながら、

「ああ、この言い回しにはこういうニュアンスが含まれてるんだな」

と理解するようになります。

 

例えば似たように見える二つの文章の違いを、文法書なしで理解しようとしたら、どれくらい英語に浸れば分かるようになるのか想像してみてください。

 

例1)

If you give me money, I’ll go.

お金くれたら行くよ。

If you gave me money, I’d go.

お金くれたら行くよ。(くれないだろうけどね)

 

例2)

I have not more than US$100.

100ドル以上は持ってませんよ。

I have no more than US$100.

100ドル以上は持ってませんよ。(あ~、少ない)

 

英語を浴びるようにして暮らすからこそ膨大な時間と経験の中でこの微妙なニュアンスの違いが分かるようになるのであって、限られた時間しか英語に接しない人が解説もなしにこのニュアンスの違いに気づくのはまず不可能です。

 

その不可能を可能にするツールが文法書です。

 

効率を重視しなければならない忙しい大人たちにとってのありがたい「虎の巻」なのです。

日本にいながら英語でブレイクスルーを起こしたいなら、文法の勉強はぜったいに必要なのです。

 

さて、ではどういうタイミングで文法の勉強はするべきなのでしょうか?

 

パターン1: 文法を学ぶ  → 英語にふれる

パターン2: 英語にふれる → 文法を学ぶ

 

正解はパターン2です。

 

英会話に文法勉強は必要ないとの主張はある意味正しくて、間違ったタイミングで文法勉強に手を付けると「文法を意識しすぎてしゃべれなくなる!」ということが起こってしまいます。

まずは英語にふれて、理屈は分からないながらも、とにかく体の中に英語をいっぱい溜めこむという作業を行いましょう。

分からないまま英語に触れ続けた後に文法を勉強すると、「ああ、そういうことだったのか」と、ようやくストンと腑に落ちるのです。

 

この、ストンと腑に落ちる、という心の動きが大事なのです。

 

ストンと腑に落ちる極端な例を挙げるとすると、“奇跡の人”ヘレン・ケラー氏です。

 

ヘレンは目が見えない、耳が聞こえない、口がきけない、の三重苦の人でした。

そんな闇の中にいた彼女を外に連れ出し、指で文字をつづり、世界のあらゆるものに触れさせたのがサリヴァン先生です。

三重苦のヘレンにはサリヴァン先生の意図が分かりませんでした。

訳が分からなくて反発します。

それでもサリヴァン先生は諦めず、ヘレンを世界に触れさせ続けました。

 

そしてある日、水(ウォーター)という「単語」と、手にふれた水という「物体」がヘレンの中で結びつきます。

 

「これか! これがサリヴァン先生が伝えようとしていたことなんだ! この液体は水、足にふれているのは土、頬に当たっている暖かいものは光なんだ!」

 

こうしてバラバラだったピースが繋がって鮮やかな絵が浮かび上がるように、体の中にため込んだ世界と単語がヘレンの中で次々と繋がりました。

ヘレンは心の高揚を抑えきれずにウォーター!!!と叫び、ついに言葉というものを理解したのです。

 

私はかなりの数の言語学習の達人ポリグロットたちの勉強法を調べてみましたが、最初に発音を覚える人、とにかくネイティブに話しかける人、と勉強法は千差万別なれど、最初に文法を勉強する人というのはほとんど見たことがありません。

また、脳科学的にも問題集を使って勉強する際、すぐに回答を見ずに、溜めて溜めて、それから回答を見たほうが物事を覚えやすいと言われています。

ですからまずは体の中に英語を溜めて溜めて、十分溜まったところで文法を学ぶことによってバラバラだったものを一気に繋げる、という手順を取るべきなのです。

 

では、具体的にはどのタイミングで文法に手を付ければいいのでしょうか?

 

まず発音記号を覚えているような段階で文法に手を出すなんて問題外。

オーバーラッピングの練習をたどたどしくやっている状態の時もダメです。

語彙が少ない自覚がある人は語彙を増やすほうを優先してください。

運用語彙の動詞の練習中なら、まずは一冊をやりこんで終わらせて下さい。

 

「文法が分からないままオーバーラッピングをするのか?」

「動詞の運用の練習するのに文法知らなくていいのか?」

 

と疑問に思い方もいらっしゃるかもしれませんが、はい、その通りです。

 

オーバーラッピングはあくまで文章になった時の英語の聞こえ方に慣れるための練習なので、暴論にはなりますが文の意味や構造など知らなくてもいいんです。

*だからこそオーバーラッピングに使う教材は難しい構文などの使われていない簡易なものを選んでください。

 

運用語彙の動詞の練習も複雑な構文は分からなくても、原形から過去形にする、過去分詞形にする、三人称にする、疑問形にする、だけなら中学生レベルの文法知識があればできるはずです。

*ですから、練習の際に使う本は物凄く短く、物凄く簡単な文章で構成されているものを厳選してください。

 

いつから文法の勉強を開始するべきかについて、これ以上の具体的なことは言えません。

現時点での皆さんの英語のレベルもバラバラですし、一日に割ける勉強時間も違うわけですから、一年の学習計画を立てた人に一律に「勉強開始から四か月後に文法の勉強をスタートさせてください」とは言えません。

 

目安をあえて言うとすると、勉強して自分の中に蓄積させてきた英語が、

 

「溜まってきた、溜まってきた! よぉし、そろそろ爆発させるぞぉ!」

 

という感覚が持てるようになったら、それがあなたの文法勉強に手を出すタイミングではないかな、と思います。

(曖昧で申し訳ないですが、言語学習するならこういうファジーさを受け入れてもらうしかないです)

 

 

文法の勉強の仕方

では文法に手を出すタイミングが何となく分かったところで、勉強する上でのポイントを書いていきたいと思います。

 

ポイントは4つあります。

 

① 文法書選び

② 下準備

③ 読み進め方

④ 仕上げ方

 

①文法書選び

文法書の選び方ですが、文法書なら何でもいいというわけではありません。

絶対避けて欲しいのは、「主格補語」「従属接続詞」「関係節」「独立分詞構文」などの宇宙語( ;∀;) が書かれている文法書です。

これらは受験やテストを受ける時に必要な文法書であって、英会話を上達させたい私たち向けて書かれたものではありません。

 

ではどういう文法書が良いかというと、キーワードは心が動く文法書です。

 

つまり読み進めている際に「なるほどぉ」とか「ああ、腑に落ちた」と思える文法書が良いのです。

 

私がその条件に当てはまるなと思った文法書を2つ参考として載せておきます。

 

一つ目は“問題集形式の文法書”です。

問題集形式ですと、ただただ淡々と説明を読んでいくものよりも、悩み、考え、答えを与えられてスッキリする、という心の動きが起こるからです。

私が使ったのは、ケンブリッジから出版されている「English Grammar in Use」シリーズ。


Grammar in Use Intermediate Student’s Book without Answers with CD-ROM: Reference and Practice for Students of North American English

 

英語学科を専攻する学生であれば知らない人はいないんじゃないかと思われるくらい超有名シリーズです。

この本は全編英語で書かれているので最初は気圧されるかもしれませんが、非常にシンプルな英語が使われているので実はハードルは高くありません。

見開きの左側に文法の解説、右側に練習問題が載っていて、問題を解きながら勉強を進めていくことができます。

 

先ほど例に挙げたような宇宙語(日本語でも理解不能な文法用語)に煩わされることもありません。

 

この本を使用する際、ぜひとも載っている英文を声を出して読みながら進めて欲しいです。

声を出せない環境であるなら、最低限、唇や舌を無音でいいので動かしてください。

自然な英語の文章がたくさん出てくるので、この機会に音読をしないなんて非常にもったいないからです。

 

よくこの本の書評で、

「自分には難しすぎた。挫折した」

との感想を見ますが、これは完全に手を出すタイミングを見誤っています。

 

初級者のあなたに文法書は必要ありません

 

「載っている英文自体はそこまで難しくないな」という感想が出るくらいが正しい手の出し時と言えるでしょう。

 

 

もう一つのおススメが、「ハートで感じる英文法」などで知られる大西泰斗氏とポール・マクベイ氏共著の文法書です。


一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法(東進ブックス)

 

これは日本語で解説されていますが、説明の仕方がとても工夫されてるので、読んでいて「ああ、なるほどぉ」「そういうことかぁ」と「心が動く」のです。

まさにハートで感じられるのです。

 

参考までにどういう解説のされ方をされているか例に出してみます。

 

例えば「as」という単語。

非常に短い単語ですが、「~なので、~だから(理由)」「~している時に(同時)」「~につれて(変化)」「~として」など、いろいろな意味があって頭パーン!になります。

ですが、この本では「= イコール」というイメージで理解してくださいと書いてあるんです。

 

例えば下記のように「as」がついた文章。

As the cost of the ticket has gone up, many people can’t afford to travel any longer.

 

「as」を「イコール」と置き換えるとするとどうなるでしょうか?

 

the cost of air tickets has gone up 航空運賃が値上がりした

many people can no longer afford to travel. 多くの人がもはや旅行することができなくなっている

 

これら2つの文章をイコールで結ぶ・・・つまり、一つの文章にする必要があるわけです。

 

どのように繋げますか?

 

特に文法知識を駆使しなくたって、「航空運賃が上がったから多くの人が旅行にいけなくなったんだ」と皆さん繋げるはずです。

 

つまりこの文章での「as」は「~だから(理由)」なのです。

 

では次の文章は?

As the hurricane hit the town, everyone ran for their lives.

 

the hurricane hit the town ハリケーンが町を襲った

everyone ran for their lives みな命からがら逃げ出した

 

この2つの文章を一つに繋げようと思ったら皆さんどうします?

 

ハリケーンが町を襲ったからみな命からがら逃げだした」←理由

ハリケーンが町を襲ったみな命からがら逃げだした」←同時

 

このように答えは割れるかもしれません。どちらが正しいのでしょうか?

 

答えは「どちらでも大丈夫、こだわらなくていい」だそうです。

 

ネイティブたちはあくまで単語をイメージで捉えているので、「イコール」のイメージから外れない限り、場面に応じて適切に理解すれば良いのだそうです。

 

こうすると「理由」「同時」「変化」などごちゃごちゃ覚えなくても済みますよね。

簡単、簡単!

 

「じゃあ、なんで学校ではこういうこと教えてくれないの?」

 

と思いませんか?

 

理由は明快。

だって受験やテストでは「正解」か「不正解」のどちらかに割り切れるようにする必要があるからです。

「どちらでもいいんだよ」なんて言ったら成績や順位がつけられませんからね。

 

分かりました?

これが受験用やテスト用の文法書に手を出してはいけない理由です。

 

②下準備

文法書を手に入れたら早速文法の勉強に取り掛かる・・・・・・その前に、その本に載っている自分の知らない名詞や形容詞などを、認識語彙勉強用の暗記アプリなどに入れて単語を覚えてしまってください。

何度も言います。

マルチタスクは避けてください!

文法の勉強と語彙の勉強を同時にしてはダメです。

 

文法の勉強に集中して知らない単語が出てきても無視できるならそれでもいいですが、知らない単語が目に入るとそれだけでけっこう気が散らされてしまうんですよねぇ。

後顧の憂いを払ってから文法の勉強に取り掛かっても決して遅くはありませんので、ぜひ下準備として単語をクリアにしておくと良いと思います。

 

③読み進め方

問題集形式の文法書は別として、文法の説明だけが書いてある文法書であれば「速読か?!」ってくらいの速さで一気に読んでしまってください。

どんな分厚い本でも1週間以内に最後まで読み切ってしまってください

これを可能にするためには、マーカーで線を引いたり、ましてやノートに習ったことを纏めるなんていうことは絶対にしないでください。

ノートにキレイに纏めるなんて、勉強した気分に浸っているだけの壮大なる時間の浪費でしかありません。

 

なぜムダか。

人間は忘却する生き物だからです。

キレイにまとめたって必ず、必ず必ず忘れるのです。

キレイに書いて纏める暇があるなら、何度も読み返す「ボーイ・ミーツ・ガール大作戦」で知識を「長期記憶」の「側頭葉」に移動させることに時間を費やしてください。

 

私は正直、学生時代から覚えたい重要事項にマーカーを引くクセがついていたので、マーカーを引けないということにフラストレーションを感じました。

 

「ああ、ココめっちゃ大事! 覚えたい! マーカー引きたい!」

 

という思いをグッと堪えるのが最初はたいへんでしたが、逆にそのフラストレーションのおかげで記憶に残りやすかったです。

 

もしどうしても堪えきれないという人がいましたら、

 

「覚えたい所にマーカーを引く」のではなく、「すでに知識として知っていて、絶対に読み返す必要がない所」をチェックしていく方が良いでしょう。

そうすれば、2度目、3度目に読み返す時に、そこを読み飛ばして時間を節約することができます。

字の上に取り消し線を引いてしまうと、万が一もう一度読み返したいと思った時に邪魔になってしまうので、下記のように脇のスペースに×印をつけておくのが良いでしょう。

 

 

④仕上げ方

文法書を何度か読むのは記憶を定着する上で大切ですが、英語学習がスポーツである以上、知識を詰め込むだけでは片手落ちです。

「バットの振り方はこうだよ」と知識を教えてもらっても、実際に素振りの練習をしなければ自分のものにならないのと同じです。

 

だから教育者は誰もが口をそろえて「習ったことを実際の会話で使いなさい」と言うわけです。

 

これは皆さん何度も言われて耳にタコ状態だと思いますので、ここでは別の話をします。

 

もしかしたらすでに知っている人もいるかもしれませんが、ラーニング・ピラミッドをという言葉を聞いたことがありますでしょうか?

ラーニング・ピラミッドとは、学習の定着率を表した図のことです。

図を見て分かるように講義(=授業を受けること)は非常に低い定着率となっています。

読書も下から二番目の低さですから、文法書を読んだだけではダメだというのが分かりますね。

 

上位3つがアクティブ・ラーニングと呼ばれ、学習定着率が高い勉強法と言われています。

中でも最上位にランク付けされているのは

 

「自分の学んだことを誰かに教えること」

 

です。

 

これは別に新しい考え方ではありません。

昔から世界の知識人が言及していることです。

 

No one learns as much about a subject as one who is forced to teach it.

人に教えることほど、勉強になることはない

(社会学者ドラッカー)

 

homines, dum docent, discunt.

人は、教えているとき、学ぶ。

(紀元前ローマの思想家セネカ)

 

教学半

教うるは学ぶの半ば

(中国古代歴史書「書経」出典)

 

私は通訳の知人が何人かいるのですが、通訳業の合間にバイトで語学を教えることもあるそうです。

プロフェッショナルとして働く彼女たちにとって、初級者に語学を教えるなんて片手間仕事であり、何も学ぶことがないように思えますが、みな口をそろえて「目からウロコが落ちる体験を何度もした」と言うのです。

 

プロでさえこれなのですから、私たちであれば目からウロコが100枚ほど落ちるでしょう。

 

それだけ「分かった気になっているものの、実は脳みその中ではちゃんと理解したものとして処理されていない」という現象が頻発しているのです。

 

習ったことを人に教えようとして初めて、実はあやふやにしか覚えてなかったと気づけるのです。

 

 

英語にすべての時間を費やせない忙しい大人の私たちは、このアクティブ・ラーニングを上手く学習戦略に取り入れる必要があります。

 

しかし困ったことに上位3つとも相手が必要な勉強法となります。

 

では自分一人で勉強する時間はどうしようもないのか・・・と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

工夫次第で一人でもアクティブ・ラーニングに近いことができます。

 

例えば自分が習ったことを教えてあげる生徒役となる人物が周囲にいなかった場合、

妄想上の生徒を作ってください。(冗談ではなくマジです)

 

文法書を1週目、2週目と読み終えたら次からは一章終えるごとに、その妄想生徒に模擬授業を行うのです。

この時のコツは、「誠心誠意、どうやったら相手にとって分かりやすいのかを模索しながら最善を尽くす」ことです。

たとえそれが妄想上の生徒であってでもです。

 

学生時代の昔、教育実習に来ていた若い先生の卵が、誰もいない教室で授業の練習をしているのを目撃したことがあります。

目の前には誰もいないのに、身振り手振りを交え、生徒がいるかのように問いかけを投げたりしていました。

それぐらいの熱量が必要です。

ハンパな気持ちでは「知ったつもりになっている知識を実はちゃんと理解していない」ことに気づくことができないからです。

他には妄想生徒のためにミニテストを作成してあげることもおススメです。

もちろん模範解答や解説までちゃんと用意するんですよ。

 

作成の過程でどこがあやふやになっているか気づけますし、作成したテストを時間をおいて自分で受ければ復習にもなりますからね。

 

このように一人でも工夫することができます。

ですが、もし可能ならやはり妄想ではない生徒役を見つけられたらそれが一番だと思います。

 

「自分もまだ英語を勉強している段階なのに、人に教えるなんてムリ」

 

と思うかもしれませんが、別にそれでお金を取るわけじゃありませんし、ちゃんとした文法書から得た知識を教えてあげるだけですからそんなにハードルは高くないと思います。

もし生徒役から質問が返ってきて、それの答えが分からなければ、つまり「分かったつもりで分かっていなかった」ことに気づけるのでありがたい話です。

その時は、「ちゃんと調べてから後で返事するね」と正直に言って、待ってもらえばいいのです。

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