英会話の勉強法まとめ②発音編

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発音編

発音勉強による3つの効果

さて、発音についてですが、まずはそもそも発音を重視する必要があるのかってところから確認しましょう。

発音を勉強する意義を知らないままよりも、ちゃんと理解したほうが身の入り方も違いますし、「わたしは発音の勉強はやめとく!」と勉強をすっ飛ばされても困りますので。

 

よく下記のような言い分が散見されます。

 

「発音なんて気にしてたら会話できなくなるよ! RとLなんて多少間違ったって前後の文脈で通じるよ! とにかく話すほうが大事!」

 

はい、確かにおっしゃる通りでまったく反論はありません。

 

ですがこれは、「自分がしゃべる時」にしか焦点を当てていません。

自分が「相手の言葉を聞く時」という視点が欠落していると思います。

 

それにある一定期間内に目標を達成するためには「発音」を重視したほうが近道なのです。

 

なぜ近道になるのでしょう?

発音の勉強は下記の3つにおいて意義があります。

 

① 脳は自分の口で発した音を言語として記憶する

② 話し相手の認知的負荷を減らす

③ ホメられた時の心理学的な利益

 

では、それぞれの意義を詳しく見てみましょう。

 

① 脳は自分の口で発した音を言語として記憶する

知識は脳に蓄積されますが、それぞれ収納される場所というものがあります。

例えば母親が日本人、父親がアメリカ人で幼児期からバイリンガルの環境で育った人は、日本語と英語の知識が脳の同じ場所に収納されます。

対して、大人になってから英語を習得した人は、日本語とは別の場所に英語が収納されます。

 

このように知識はいろいろな要因により、それぞれ収納される場所が決まっていくのです。

 

実は私たちの脳は“言語”と“雑音”は別物であると判断し、それぞれ違う場所に振り分けて収納しているのです

 

ここで問題になるのが、「では脳はどうやって言語と雑音を識別しているのか?」ということです。

 

ここで「発音の重要性」が意味を成してきます。

実は脳は実際に自分の口で出した音を言語として認識して、言語の領域に収納するのです。

言い換えれば、自分の口でしゃべったことのない音は、雑音の領域に収納されてしまうということです。

例えば、スペイン人が何かをしゃべっているのを聞けば“スペイン語”だな、と知識としては言語だと分かりますが、スペイン語をしゃべったことのない人の脳内では“雑音”として処理されているのです。

雑音の領域から言語の領域に移動させるには、実際に声に出してしゃべるというステップが必要なのです。

 

例えば「残酷な」という意味の「Cruel」を「クルーエル」とカタカナ読みで発音して覚えたとしましょう。

すると「残酷な」と「クルーエル」は言語領域に収納されますが、ネイティブが発音する「Cruel」は自分の口で出したことがない音なので雑音領域に収納されてしまいます。

すると、言語領域に収納した「残酷な」「クルーエル」と雑音領域に収納した「Cruel」を結び付けられない、つまり聞き取れないという現象が起こるのです。

 

もちろん長い長い時間をかけて勉強し続けていけば、いづれ脳はカタカナ発音の「クルーエル」とネイティブ発音の「Cruel」を同じものであると理解して両者を結び付けてくれますが、すんげー余分な労力と時間がかかります!

 

今ここで話しているのは「一定期間内に目的を達成するための戦略」です。

我々にはそんな遠回りをしている暇はないのです。

 

近道するためには、最初からネイティブの発音になるべく近い音で脳に収納して、脳への負荷を少なくするべきなのです。

 

②話し相手の認知的負荷を減らす

“会話”とは“コミュニケーション”であり、“コミュニケーションがうまい人”は、“話し相手への配慮がきちんとできる人”です。

 

ノイズ混じりの深夜ラジオを夢中になって聞いていた、という人はいますでしょうか?

おもしろいラジオなら雑音が混じろうが一生懸命聞こうとしますよね。

 

ですが、人間の脳は基本的には面倒くさがりです。

認知的に負荷がかかるものを嫌う傾向があるのです。

 

ノイズ混じりでもそのラジオを聴くのは面白いからです。

面白くなければノイズ混じりのラジオなんて誰も聞きません。

 

発音が悪いということはノイズ混じりのラジオといっしょです。

聞き手に負荷がかかっているのです。

 

昔、ベトナムからの留学生の知人がいました。

彼の日本語は文法も正しいし語彙力も豊富でしたが、致命的に発音が良くありませんでした。結果何度も「今何て言った?」と聞き返す羽目になり、何度も聞き返して申し訳ないなという気持ちになりました。

もちろん彼自身の人柄が良かったので発音の悪さを理由に嫌うなんてことはありませんでしたが、彼との会話はかなり集中力を要するので1時間も話しているとけっこう疲れました。

 

さて、あなたの会話は相手にとってどうでしょうか?

 

あなたが美男美女や魅力的な特技の持ち主であればノイズ混じりの会話であっても熱心に耳を傾けてもらえるかもしれません。

職場で英語を使っているなら仕事なのですから相手は耳を傾けてくれるでしょう。

でも今は日常英会話のお話しです。

相手にはあなたの話を聞く義務がない状態です。

 

耳を傾けてもらえそうでしょうか?

 

「発音練習なんかよりも、もっと大事なことがある!」との主張には私も同意です。

日常英会話においては発音のキレイさよりも、話し手の人としての魅力のほうが1000倍有利だからです。

あなたに興味がある相手は話を聞こうと耳を傾けますから、あなたのつたない英語でも会話が成立するでしょう。

でも、「そんなこと言われても、何をどうしたら人としての魅力が上がるのか分からないよぉ(>_<)」って人も多いんじゃないでしょうか?

 

そういう人は地道にノイズを取り除いて話し相手の認知的負荷を減らしましょう。

情けは人のためならず。

相手の認知的負荷を取り除くことは、耳を傾けてもらえる確率が上がるのですから、ひいては自分のためになるのです!

 

こういうことを書くと、

 

「私の英語はノイズ混じりだわ。人前で話すのが恥ずかしい」

 

と、元も子もなくなるようなことを言い出す人がいると思います。

また、

 

「発音、発音って責め立てるから、ただでさえ英語に委縮している日本人が余計に委縮するじゃないか」

 

と文句をいう人も出てくるかと思います。

 

ですが、一定期間内に一定レベル以上の英会話力を手に入れるつもりなら、「恥ずかしいから」とか「委縮しちゃうから」などという小学生のような言い訳はやめましょう。

 

“本気で勉強する”っていう言葉の意味、分かってます?

自分を奮い立たせてください

子どもじゃないんだから。

 

それができないならこの先、20年、30年、たいしてしゃべれない英会話を細々と勉強しつづけたら良いですよ。

誰も責めやしませんから。

 

③ホメられた時の心理学的な利益

「ノミの天井」という言葉を聞いたことがありますか?

ノミをガラスケースに入れると、ある一定以上の高さしか跳ばなくなります。

なぜなら高く跳ぶたびにガラスケースに体を打ち付けてしまうので、跳んではダメなんだと思ってしまうからです。

こうなったノミはガラスケースから出された後も、体を打ち付けない高さまでしか跳ねなくなります。

 

これが「ノミの天井」と呼ばれるものです。

 

そしてこれはノミだけでなく人間にも当てはまります。

「お前はバカな子だ」「デキが悪い」と言われ続けた子どもの成績は悪くなります。

本来は優秀な脳を持っている子でもです。

 

だから「わたしには英語なんてしゃべれないんだわ」と思ってしまったら本当にしゃべられなくなります。

マジで。

 

そんなネガティブスパイラルから救ってくれるのが「ホメられる」という体験です。

 

でも、普通そんなにホメられることってないじゃないですか。

英検一級持ってますとか、シェークスピアを原書で読めますとか、自慢ポイントがあったとしても、そんなことをいちいち会う人に自己申告してたらスゲー嫌なやつじゃん!(爆)

 

でも発音がいいと、ほんの少し英語で自己紹介しただけですぐにホメられます。

 

わたしは一時期スカイプでいろんな人と英語で話していたのですが、話し始めるとすぐにみんなから「発音キレイね」「すごいわね」とホメられまくりました。

 

日本では発音が軽視されてるので、日本人で発音がいいとすごく目立つんです。

 

私の発音だってまだまだ完璧からほど遠いはずのに、それでもべた褒めされます!

このお得感ったらないわぁ~。

 

やっぱりホメられたら悪い気はしないわけです。

自分の実力がまだまだだってことは百も承知ながら、明日からも頑張ろうとポジティブな気持ちになります。

 

英語の総合力がさほど高くなくても、発音がいいだけでガンガンほめてもらえます!

この心理学的効果は無視できませんよ!

 

「英語の効率的な勉強法が知りたかったのに、ホメられて伸びるとか、何だソレ」

 

と思ったそこのあなた!

 

近年、「ホメられる」心理学的効果はさまざまな実験や研究によって数値化・可視化されていますので、安心してこの説に乗っかってくださいませ。

 

 

さて、私は上記のような理由で発音練習は英会話の勉強において、時間と労力を要する価値があると結論付けました。

 

時間は有限ですから、あれもこれも手を出せません。

かかる労力や時間に比べて効果が少なければ切り捨てる判断も時には必要です。

 

しかし発音練習は日常英会話の上達において切り捨てないほうが良いのです。




 

発音勉強法編

さて、発音をちゃんとしたほうが近道だ、という私の意見に賛同してくださった方は具体的に最適な発音勉強の手順を見てみましょう。

 

まず英語の音は3つのバージョンがあることを理解してください。

 

① 単語単体の時の音

② 学校英語で使われる、文章になった時の音

③ ネイティブが使う、文章になった時の音

 

これらを分かりやすく「歩く」行為で例えると、

 

①が、バッキンガム宮殿の衛兵の行進。メチャメチャ全力でスキなし。

②が、学校の体育祭での行進。衛兵ほどではないが、それなりにちゃんと歩く。

③が、普段のぶらぶら歩き。肩の力が抜けてます。

 

これらがまったく違う「歩き方」であるように、英語の3バージョンは全部音が違います

 

どれほど音が変わるのか、「What do you think?」を例に説明してみましょう。

 

①の単語単体の時

What    do  you think?

[ hwʌ́t ] [ du ] [ júː ] [ θíŋk ]

ホワット ドゥ ユー シンク

 

②の学校英語の文章

What    do  you think?

[ hwʌ́t ] [ du ] [ júː ] [ θíŋk ]

ホワッ ドゥ ユー シン

 

赤文字の「」は音が消え、ピンク文字の「」は音が小さくなっています。

 

③のネイティブの文章

What    do  you think?

[ hwʌ́t ] [ du ] [ júː ] [ θíŋk ]

ワデュ シン

 

「ホワット」が「ワ」になり、「ドゥ―ユー」が圧縮されて「デュ」になっています。

 

「ワデュ」ですよ「ワデュ」!

②と③ではここまで音が違うんです。

なのに私たちが習うのは①と②だけ。

日本人で③のバージョンまで勉強している人は少数です。

 

そして多くの日本人が言うのです。

ネイティブの言ってることが聞き取れないと。

 

そりゃあそうでしょうよ。

だって③のバージョンを習ってないんですもん。

習ってもいないのに聞き取れるはずがありませんって!

 

さあ、これから3つのバージョンの音のそれぞれの攻略法を見ていきましょう。

 

 

①単語単体の時の音

 

まず、英語の発音を勉強するに際して理想的なのは、「分からないことがあった時に質問できる先生がいつもそばにいる」という環境です。

“音”に焦点を置いて、ペンやノートはいっさい使わずに耳だけで勉強する方法が取れるからです。

 

しかし、そんな理想的な環境にいる人はごく少数です。

多くは自分一人で勉強を重ねていかなければなりません。

 

その場合は「ʃ」「ð」「æ」・・・などの「発音記号」という道具を用いるのが一番効率が良いと思います。

 

「A」は「エー」、「B」は「ビー」と覚えても意味がありません。

なぜなら英語のアルファベットは日本語でいう漢字と同じで組み合わせによって音が変わるからです。

 

例)

・日本語の漢字

「仲」→ 発音「なか

奏」→ 発音「かんそう」

 

・英語のアルファベット

「りんごのapple」→ 発音「æpl」

「突然のabrupt」→ 発音「əbrʌ́pt」

 

このように同じ「a」というアルファベットでも、「æ」と発音する場合もあれば、「ə」と発音する場合もあるのです。

 

日本語を勉強する場合でもいきなり漢字から勉強する人はいないですよね。

まず最初に覚えるべきは、一つの記号に一つの音しかない“ひらがな”です。

 

その日本語のひらがなに相当するのが「発音記号」なのです。

 

数千にも及ぶ漢字とは違って「発音記号」の数はたかが知れてます。

一人で勉強する場合、この「発音記号」をマスターしていると非常に便利ですのでぜひ覚えてしまってください。

 

Youtubeなどでも発音の仕方を解説している動画はいくらでも見つけられますよ。

口の動きを映像付きで確認してください。

 

できれば、日本で生まれ育ちながら英語の発音を会得した日本人の動画がいいのではないかと思います。

日本語の口の動かし方しか知らなかった人が英語の口の動かし方を会得していく過程が重要なので、この体験をした人に学ぶのが一番です。

英語ネイティブや帰国子女の人たちはこの過程(プロセス)を経ていないので、私たち日本人の大人がどうすれば英語の発音を上達させられるか、どこに難しさを感じて苦戦しているのか、的確につかむことが難しいと思います。

 

私が見た中では下記のYoutubeチャンネルがその条件に当てはまっていて、分かりやすいのではないかと思いますので、ご参考まで。

 

 

あと、英語の発音がどういうものなのかを知っておくのも良いと思います。

一冊でいいので図書館で発音に関する本を借りて読んでみるのをおススメします。

一日で読めてしまうのでそこまで手間ではないはずです。

ちなみに私は下記の本を読みました。


CD BOOK バンクーバー 発音の鬼が日本人のためにまとめた ネイティブ発音のコツ33 (アスカカルチャー)

 

*発音記号にはIPA式とJones式の二種類あります。

IPA式は世界基準の発音記号なのですが、日本ではJones式が採用されている辞書が多いです。

世界基準のIPA式は英語以外の言語の発音にも対応するようになっているため複雑なのですが、それをJonesさんという人が英語用に簡略化してくれたのがJones式発音記号です。

Jones式の発音記号は、効率的な勉強法を追及する私たちにとっては実にありがたい道具なのです。

 

さあ、「発音記号」という道具を手に入れたらさっそく中学生で最初に習った基本中の基本の単語の発音から洗いなおしてください。

 

「えっ? すでに知ってる単語を発音のためだけにまた見直すの? 時間のムダじゃん! そんな時間があるなら新しい単語の一つでも覚えたほうがいいじゃん!」

 

と思いますよね?

私も実際そう思っていました。

 

しかし私は発音のキレイな人に憧れて一念発起し、中学生で習う単語から発音を見直すことにしたのですが、これが結果として本当にやって良かったのです。

 

まず、日常会話は中学で習う基本単語で7割ぐらい占められています。

だから中学で習った単語の発音を矯正するだけで、あなたの会話の音が劇的に改善されるのです。

これはスゴイお得です!

 

もう一つ思わぬ効能もありました。

 

私はTOEICで900点以上取得した後に中学生で習う英単語の発音を見直しました。

それを聞いた人は、

「じゃあ、中学で習う単語なんかは完璧で、発音の勉強のためとはいえもう一度見直すなんてかったるかったでしょう?」

と思われるかもしれませんが、これが大違い。

実際、私の中学英単語は完璧ではなく虫食い状態でところどころ穴が開いていたのです。

虫食い状態の基本単語の上にどんどん虫食い状態の中級レベル、虫食い状態の上級レベルの単語が積みあがっているというありさまでした。

 

これは英語圏で育った子にはあまり起こらないのですが、英語を学問として習った私達にはよく起こる現象なのです。

 

このことに気づけたのは発音矯正のためにともう一度基本単語に向き合ったからなんですよね。

 

「え? この単語の使い方間違ってた!」

「ウソ、この単語ってこんな発音だったの?」

 

っていうことが何回かありました。

 

発音矯正のためにと思ったものの、思わぬことに虫食い状態の知識がキレイに穴埋めされたので、本当にやって良かったです。

 

一冊だけでいいです。

「キクタン2000」でもいいですし、「英検5級用単語帳」「英検4級単語帳」でもいいので、音源付きで発音記号がちゃんと書いてある中学生レベルの単語帳を一冊購入して発音を見直してみてください。

ネットで買わずにちゃんと本屋に行って、手に取って、中身を確かめてから買ってくださいね!

 

忘れてないとは思いますが、勉強の際は必ず“口に出して”覚えてくださいね。

口に出して発した音のみを脳は言語領域に保存してくれるんですよ!

CDの音を聞くことに集中して聴覚のみで勉強したり、発音記号を覚えることに夢中になって視覚のみで勉強してたら本末転倒です。

 

口を動かして! 喉を動かして!

英語はスポーツです!

 

 

ああ、そういえば、英語の発音の勉強と聞いて、「フォニックス」を思い浮かべた人も多いのではないでしょうか?

フォニックスとは、英語圏の子どもが習う”文字と音を結び付けるパターン”のことです。

 

もし下記の字を見た時、「何て読む?」と聞かれたらどう答えますか?

 

A、B、C、D・・・

 

十中八九「エー、ビー、シー、ディー」と答えると思います。

しかしフォニックスでは「エァ、ブッ、クッ、ドゥ」と覚えます。

 

これに関しては下記のYoutube動画で分かりやすく説明されてますので一度見てみてはいかがでしょうか?

非常に分かりやすく簡潔にまとめられていますのでご参考までに。

 

 

話しをフォニックに戻しますと、もし子供が「D」の文字を指さして、「これってなぁに?」と聞いてきたら、

 

「これは「ディー」というお名前がつけられた文字でね、発音する時は「ドゥ」という音を出すんだよ」

 

というのが正しい説明です。

 

さて、何が言いたいかというと、私はフォニックスを絶賛するために名前を出したわけではありません。

 

警告するためです。

 

フォニックス信者には怒られるかもしれませんが、もしフォニックスを勉強してみたいという人がいても、私はすでに大人であるあなたにはそこまでおススメはしません。

するとしても最小限の勉強にとどめておくことを推奨します。

 

なぜかと言うと、英語ではいくら綴りと音のパターンを覚えても例外が多すぎるのでフォニックスを過信すると混乱するのです。

例えば、フォニックスでは「SH」の組み合わせは「シュ」という音、「OO」の組み合わせは「ウー、ウッ、ア」のどれかになると教わります。

「SH」はいいとしても「OO」にいたっては「どれかってどれやねん!」って話になるのです。

 

Tool、Schoolは「ウー」

Book、Tookは「ウッ」

Flood、Bloodは「ア」・・・・。

 

結局発音記号を確認しなければならないハメに陥ります。

 

またフォニックスのパターンには例外がたくさんあります。

例外をカバーするためのパターンもあるのですが、それらにも例外があり、その例外の例外をカバーするパターンを覚えて・・・ってやっていくと、頭パーン!になります。

 

例えばこれがスペイン語やフランス語だったら例外が少ないのでフォニックスを習う意義は大いにあるのですが、英語は例外が多いことで悪名が高く、フォニックス学習が本当に有効なのかどうか、長い間論争となるほどでした。

フォニックスを初等教育に入れるべきかで一世紀も論争したんですよ!

おいおいおい、一世紀って・・・。

 

一応フォニックスは有効であると結論づけられてアメリカでは初等教育に取り入れられていますが、

「基本ぐらいは覚えてもいいけど、例外パターンや例外の例外パターンを覚えるのに時間使うよりも、そのまま覚えたほうが混乱しなくて済むやろ!」

っていう考えの教師も多いそうです。

最終的に有効であると結論付けられたのですが、フォニックス教育でメシを喰ってる人たちがロビー活動でもしてしたんじゃねーの? と、ひねくれた私なんぞは疑ってます。

 

と、ここまで書くと私がフォニックスを全否定しているように思われるかもしれませんが、全否定ではありません。

 

・フォニックスを過信しすぎないこと

・深追いしすぎないこと

 

これを念頭に置いた上で、基本のフォニックスを知ることはまったく問題ないです。

もしフォニックスに手を出す場合は、基本パターンの26文字と、頻出2文字パターンを覚えるくらいでいいのではないでしょうか?

それ以上の深追いはおススメしません。




 

 

②学校英語で使われる、文章になった時の音

さて、単語単体での音は中学英単語を一冊終えればかなり改善されるはずですし、発音記号もその音を出すための口の動かし方も一通り頭に入ると思います。

しかし冒頭で説明した通り、英語の音は単語単体の時と、文章になった時とでは違います。

音が脱落したり(リダクション)くっついたり(リエゾン)して辞書に載っている発音記号とは音が違ってしまうのです。

 

文章になった時にどのように聞こえるかも脳に教え込ませなければなりません。

単語単体の時の音だけは片手落ちなのです。

 

これも単語単体の時と同じように、英文を口に出すことによって文になった時の音を言語領域に収納しましょう。

 

ここで気を付けないといけないのが、自己流で英文を読まないこと!

 

自己流の発音で読んでいると、ネイティブの会話を聞いた時に脳の中で両者の音が結びつきません。

この収納作業は単語単体の時の練習と同じように、なるべくネイティブの発音とイントネーションに近い音で行わなければなりません。

 

一番良いのはネイティブ英語の音声を聞きながら、自分の声を重ねてしゃべることです

自己流に比べればかなりネイティブに近い音で脳に収納できるはずです。

 

英語の音声に自分の声を重ねる(Overlap)この勉強法をオーバーラッピングといい、専用の教材が出ています。

 

教材には音声の他にその音声の台本がセットになっているので、音声と同時に台本を読み上げてください。

Youtubeにも「オーバーラッピング」で検索すると動画が出てくるはずです。

正しい英文の音を、脳の言語領域に収めていきましょう!

 

Youtubeのオーバーラッピング練習動画の参考例を載せておきます。

このほかにもいろいろな動画があると思うので、自分のレベルにあったオーバーラッピング練習用の動画を探してみてください。

 

ただですね、本当は台本なしで音だけを頼りに真似していくのが一番良いのですが、それって初心者にはけっこう難しいのです。

 

この台本なしバージョンがシャドーイングと呼ばれる練習法です。

 

オーバーラッピングと違って手元に台本がないので、音声より少し遅れて、まるで影(Shadow)がつきまとうようにしゃべることになります。

 

これはオーバーラッピングに比べて格段に難易度があがります。

日本語音声を日本語でシャドーイングするのだって最初は上手くいかないほどです。

非常に難しい勉強法ですので5分行うだけで疲れると思いますが、英語のプロフェッショナルである通訳を目指す方が必ず行う勉強法なので、効果は折り紙付きです。

 

ですが無理はせずに、まずはオーバーラッピングでどんどん英文の音を脳に収納してしまいましょう!

 

オーバーラッピングにしてもシャドーイングにしても、Youtubeで練習動画が見つけられますよ!

 

 

③ネイティブが使う、文章になった時の音

英語単体の時の音、文章になった時の音、両方勉強したのに映画や海外ドラマを見ると聞き取りができない。

教材用の英語なら聞き取れるし、ネイティブの英語教師の英語も聞き取れるのにどうして・・・。

 

このように悩まれる方は③のパターンを練習していない人です。

ネイティブの日常会話は超ウルトラ省エネモード

いろいろな音が手抜きされています。

その手抜きのテクニックを知らなければなりません。

 

そのテクニックを分かりやすくまとめられているのが下記の動画です。

非常におススメ。

 

彼のチャンネルの動画をいろいろ見て超ウルトラ省エネモードの知識が深まったら、“English Journal”などを図書館で借りて著名人の音声付インタビューなどでオーバーラッピングしてみてください。

学習教材よりも生の日常会話に近い音が聞けますし、映画やドラマのような会話のないシーンで時間を浪費することもありません。

 

とにかく声を口に出してください。

脳の言語領域に大量の文章のパターンを収納していくのが目的なので、乱暴な言い方をすれば、単語の意味とか文法とかいっさい考えなくたっていいのです。

英語は脳筋! 英語はスポーツです!

 

 

さて、①のパターン、②のパターン、③のパターンの音の勉強の仕方を書いてきましたが、ここで発音練習の際の注意ポイントを書いておきます。

 

ポイント1

①②③は、一つずつできてから次へ進んでください。

「発音記号を覚えなくちゃ、オーバーラッピングもやらなくちゃ、シャドーイングもやらなくちゃ、アバババババ」

と焦るのは良くありません。

気を急いてはスっ転びます。

 

ポイント2

声を口に出す時は、英語圏の3歳児になりきって下さい。

海外映画なんかで幼児が出てくるシーンを思い浮かべてください。彼らは口を大~きく開けて、ゆ~っくりしゃべります。

英語にどっぷり浸かって暮らしている彼らでさえ、最初のうちはあれほどゆっくりでなければ英語の発音がうまくできないのです。

日本に住んでいる日本人が普通の速度でしゃべって正しい発音なんてできるわけがありません。

ただし大人が3歳児しゃべりをしていると傍から見ればかなりイタイので人目につかないようお気をつけあれ。

英語には日本語にはない舌の動きや喉の使い方が多くあります。

慣れるまで頑張ってください。

 

ポイント3

オーバーラッピングは、なるべく体を動かしながら行ってください。

例えば「My name is Nancy.」という文章では強調する場所で膝を曲げたり、指揮者のように腕を振り上げたりします。

 

My name is Nancy. (←大きい文字のところで体や腕を動かす)

 

ですので、基本的にこの練習は立って行います。

こういう練習法を聞くとバカバカしいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、イントネーションに合わせて体を動かすという練習法は、海外の語学学校では実際に採用されています。

世界中から集まった英語を習いたいいい歳した大人達が、外に出て円になって体を動かしながら英語のリズムを体に叩き込む練習をしているのです。

傍からは小学校のレクリエーションの時間のよう牧歌的な光景ですが、効果があるから真面目に採用されているのです。

 

くどいぐらいに何度でも言います。

英語はスポーツです!

体全体で覚えてくださいね。




 

 

最後に発音勉強に際して気に留めておいていただきたいことを一つ。

日本語であれば日本語の発音を習う場合、日本のアナウンサーが使っている発音のほぼ一択で迷う必要がないのですが、英語の場合はアナウンサーといってもイギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダ・・・と、選択肢が複数になってしまいます。

 

最初にどの国の英語の発音を第一に学ぶか決めてしまってください。

 

ネイティブの耳にはアメリカ発音とイギリス発音がぐちゃぐちゃに混じっていると、すごく違和感を覚えるそうです。

まず最初は特定の国の発音に絞るべきです。

アメリカ英語の発音にする、と決めたらイギリス英語のテキスト類は意識的に使わないようにしてください。

 

ちなみに日本のほとんどの学校が採用しているのはアメリカ英語です。

本屋などで手に入る英語教材で一番多いのがアメリカ英語、二番手がイギリス英語ですよ。

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