英会話の勉強法まとめ①戦略編

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「中高大と英語を習ったのにしゃべれない!」

「英語テストの点は悪くないのにしゃべれない!」

「そもそも語学の才能がないんだ!」

 

こんなふうに思っている日本人って多いですよね。

 

英語だけで四苦八苦している私達ですが、世界にはポリグロット(Polyglot)と呼ばれる多言語話者が存在するのをご存知でしょうか?

5か国語、8か国語、中には20か国語以上の言語を操る人たちもいます。

どれだけ語学的才能に恵まれているんだろうと思いますよね?

 

しかし、朗報です!

 

私が彼らのインタビュー等を読みまくってリサーチしたところ、なんと彼らの多くが学生時代の外国語の成績はボロボロだったことが分かりました。

つまり今では語学の天才のように思われているポリグロットたちも、学校の勉強法では語学習得に苦戦していたわけで、英語をしゃべれないのは私たち自身の問題というより“外国語の習得の仕方”に問題があるというわけです。

私は英語の勉強法について相当な時間をかけて調べまくったことがあるので、今回はそれを纏めてみようと思います。

 

戦略編

 

よくネット上で「この勉強法が良い」「いや違う、こちらのほうが良い」などと議論されているのを見ます。

特に英語学習については一家言を持つ人も多く、喧々諤々の様相です。

 

でも、「大学受験を控えた高校生」と「翻訳家を目指す主婦」が議論したところで何の意味もないです。

 

だって、それぞれ立場も目標も違うんだから。

それらが違えば、ゴールにたどり着くための戦略が違ってくるのはあたりまえです。

 

それぞれの立場の人の、それぞれの勉強法に惑わされて、「何を勉強したらいいか分からない」という事態だけは避けましょう。

 

戦略がブレるというのは致命的なのです。




ターゲット設定

英語で達成したい目標は人それぞれです。

 

TOEICでいい点を取りたい人。

英文学を原書で読みたい人。

海外の映画を字幕なしで観たい人。

などなど。

 

外国語の勉強でまず最初に確認しなければならないのが、2つのターゲットです。

 

①英語を勉強する対象(ターゲット)は誰?

②そしてその人たちの達成したい目標(ターゲット)は何?

 

例えば、柔道の練習をしている人が空手の試合に出たら、いくら一生懸命に練習したところで試合には勝てません。

同じ格闘技とはいえ、空手の試合で勝つには空手の練習をしなければならないのです。

 

ターゲットがブレると頑張った割に結果が出ないので、挫折感を味わうことになります。

この挫折感は英語への苦手意識に変換されてしまうので要注意です。

しかも頑張った人ほど無能感が強まるのでぜったいに、ぜーったいにブレてはいけません。

 

今回は、明確にターゲットを絞ります。

 

ターゲット①: 対象

〇: 日常英会話ができるようになりたい大学生以上の大人

 

×: 英語の難しい本が読みたいという人は対象外。

×: 英語でエッセイや小説を書いてみたいという人は対象外。

×: 日本語能力が固まっていない小さな子どもは対象外。

×: 中高生は受験英語が優先されてしまうので対象外。

×: 仕事で英語を使いたい人は、それぞれの職種で必要とされる英語が違うので対象外。

 

ターゲット②: 目標

〇: 英語でネイティブとある一定レベルの会話ができるようになること

 

今回、目標はあくまでも「一定レベルの英会話力」に限定します。

母国語並みにしゃべれることを「目標」にするなら、戦略が変わってしまいます。

 

英語学習において問題なのは、「対象」と「目標」がはっきりしないために戦略がブレてしまうことです。

 

 

 

さて、今回目標に定めた「一定レベルの英会話力」というのは、

ネイティブの言っていることが聞けて、聞き取れなかった時はちゃんと質問をすることができ、たどたどしくても自分の考えや思いを伝えることができるレベル

とします。

 

「なんじゃい、その曖昧なゴール設定は!」

「ちゃんと数値で示さないの?」

 

と思ったそこのあなた。

 

学校英語の弊害をまたここに持ち込むことになっちゃいますよ?

達成度を数字で示そうとすると、「テストで点は取れるけど話せない」という人を量産する勉強法になってしまうのです。

 

英会話で上達しにくいのは、「何でも数値化したがる人」や「言語にも数学のような1+1=2というキッチリとした解を求める人」だと言われていますから。

 

もし、あなたが「あ、私そういうタイプだわ。詰んだ」と思っても心配ご無用。

 

べつに普段の人格は変更しなくてもいいです。

英会話を学習する時だけ理詰めの自分を封印して、ファジーな言語世界を楽しむように“キャラ変”すればいいだけです。

女優にでもなったつもりでね!




 

期限設定

さて、ターゲットを確認した次は、勉強する期限を定めましょう。

こう言うとすかさず反論が飛んできます。

 

「語学っていうのは生涯学習でしょ!」

「期限を区切ってどうすんの?!」

 

この主張は英語学習の一般論としては正しいです。

しかし、「ある一定レベルの英会話力」に到達するための戦略を立てる時に期限設定を設けないというのは愚策です。

愚策というか、期限設定がない策など策とも呼べないような・・・。

 

期限を設定する理由は主に2つあります。

 

① 脳の「意志力」の持続性

② 勉強の「密度」の重要性

 

一つ目の「意志力」についてですが、私たちの脳は構造上、「頑張って勉強しよう!」という「意志」が持続しないようにできています。

意志を司っているのは「前頭前野」と呼ばれる部位です。

前頭前野は理性や意志といった高尚なものを取り扱っているのでエネルギー消費が大きく、長期間動き続けることができません。

これは脳を守るための構造なので、誰の脳であっても同じです。

 

「ウソだ! ものすごい仕事量や勉強量を、ものすごく長い期間やれる人もいるじゃない! 意志力が高いからでしょ!」

 

そう思うかもしれませんが、それは違います。

ものすごい仕事量や勉強量をものすごく長い期間こなせる人は、そもそも「頑張ろう」などと思っていないのです。

仕事や勉強が楽しくて楽しくてしょうがないので「頑張ろう」と奮起する「意志」が必要がないので前頭前野を使わなくていいだけなのです。

 

それなら楽しく勉強できるように、映画やドラマなどのエンタメ教材で勉強すればいいじゃないか、と思われるかもしれませんが、それではダメなのです。

 

ダメな理由は2つ目の“勉強の「密度」の重要性”に関係します。

 

まず、語学勉強はスポーツや筋トレと同じで、結果を出すためにはある程度の練習密度が必要です。

1日10分の勉強なんて問題外です。

1日10分の筋トレではマッスルボディーにはなれません。

健康維持になら多少貢献するでしょうが、筋肉はつかないのです。

 

“塵も積もれば山となる”という言葉がありますが、語学勉強やスポーツや筋トレの世界では、“塵は積もっても塵のまま”なんです。

日々の生活に追われる忙しい大人が2時間の映画に手を出してしまったら、その日はあとどれくらい勉強できますか?

2時間の映画のうちセリフ部分が20分しかなかったなんてことになったら目も当てられません。

ですから初心者は学習効率の悪いエンタメ教材をメインにしてはダメなのです。

 

(悪いサイクル)

意志力は長く続かない

意志力が小さくて済む楽しいエンタメ教材に手を出す

エンタメ教材は勉強効率が悪い

勉強効率が悪い教材に手を出していたら勉強密度が薄くなる

密度がないので筋肉(実力)がつかない

 

この悪いサイクルに陥らないようにするためには、次のようなサイクルにならざるをえないのです。

 

(良いサイクル)

意志力が続く程度に期限を区切る。

期限つきなので、おもしろくない学習教材でも我慢できる。

学習教材は効率がいいので勉強密度が確保できる。

密度があるので筋肉(実力)がつく。

 

ですから最初は大変かもしれません。

でも日本在住のまま上級の英語力を手に入れた人は、楽しんで学ぶ工夫はしているものの、よくよく聞いてみるとしっかりとした勉強もちゃんとしています。

睡眠学習で眠っているうちに楽々英語をマスター、なんてことは夢物語でしかないのです。

 

よく「自分の好きなやり方で楽しく学ぶのが最良の勉強方法!」と言う人がいますが、これは最新の研究の結果で否定されています

「自分にとって楽しい勉強法」と「効率の良い勉強法」を比べた場合、「効率の良い勉強法」のほうが達成度が上だったという研究結果が出たそうです。

でも、これを聞いて嫌な気持ちになる必要はないですよ。

最初の期限内は「意志力」を総動員して頑張らなければなりませんが、ある一定レベルに達した後は、期限なしの生涯学習期に移行します。

その生涯学習に入った時こそエンタメ教材の出番です!

むしろ期限がないので「好き」「楽しい」を原動力にしなければ続かないので、エンタメ教材を大推奨いたします!

 

ある一定レベルに到達した後のエンタメ教材は良いですよ~。

難易度のあるものでも何とか理解できるので、映画にしても、ドラマにしても見ることのできる選択肢が広がっていますからね。

 

ですから間違っても最初から「自分にとって楽しい勉強法」に走らないでください。

一生のうちの短い期間だけのことなんだから、その間は我慢、我慢です。

 

だいたいね、一定レベルに到達していない人が映画なんか見ても、勉強している気になってるだけで、たいして理解できてないんだから実力なんてつくはずがないんだって!(←ド辛辣!)

 

では方針が決まったところで具体的に期間を定めていきましょう。

 

どれくらいの期間が適正でしょうか?

 

勉強期間を決める作業は、ローンを組む作業に近いかなと思います。

毎月の返済額を少なくすると返済期間が長くなり利子がついてしまうので、返済額のトータル額は増えてしまいます。

だからといって自分の経済状態を無視してムリなローンを組んでしまえば家計が破綻します。

 

英語学習もこれと同じです。

英語学習では“利子”の代わりに“記憶の忘却”が付くので、一日の勉強時間を少なくして学習期間を長くすると、期間が短い人に比べてより多くの時間を勉強に費やさねば彼らと同じレベルに到達できなくなります。

だからといって忙しい大人が「一日6時間」のような無理なプランを組めば、ローンといっしょで途中で挫折してしまいます。

 

自分の現状を確認しましょう。

 

週日はどれぐらいの時間を勉強に費やせるのか?

土日はどうだろうか?

 

英語の習得は比較的大きな買い物だと思ってください。

大きな買い物をする時に何の考えもなしにローンを組むなんてことは普通しないと思います。

 

ましてや英語学習においては、お金の支払いの代わりに費やさねばならないのは、あなたの大切な大切な人生の時間です。

 

時間=人生ですよ!

 

人生を愛するなら、時間を浪費してはいけない。

人生は時間でできているのだから。

Dost thou love life?

Then do not squander time, for that’s the stuff life is made of.

(by ベンジャミン・フランクリン)

 

とはいえ、いったいどれほどの時間を割けばいいか、目安がないと計画もたてにくいと思いますので、参考の数字を出してみましょう。

 

英語学習の時間について

アメリカ国務省の機関FSIが出した「英語を母国語とする人が日本語を習得するために必要な時間」は2200時間以上で最高難度だそうです。

当然、逆もしかりで、日本語話者にとっても言語的共通点の少ない英語は非常に習得に苦労するのです。

ちなみにフランス語やスペイン語は600時間。

約3.6倍の差があります。

 

フランス人やスペイン人と同じ時間を英語学習に費やしても、3.6倍も差がつくんだから日本人が英語学習で自信をなくしたり、ふてくされてしまうのも無理ないじゃん! って話ですよね。

 

さて、日本人がある一定レベルの英語力に到達するにはどれくらいの勉強時間が必要なのでしょうか?

 

それは約3000時間だと言われています。

 

では、高校卒業時の勉強時間はどれくらいに達しているのでしょうか?

 

平均的に約1600時間(授業時間:800+自習時間:800)だと言われています。

 

「先ほどのアメリカ国務省の算出した数字では2200時間となっているのに、何で3000時間も必要なの?」

 

と疑問に思われると思いますが、これは外交官を目指す様なエリートがその言語で外交を行えるようなレベルになるための授業時間であり、実際は自習を含めると3800時間ぐらい勉強しているだろうと言われています。

それらを鑑み、私たち一般的な者が一定レベルにいくための学習時間としては、3000時間が目安であろうと言われているのです。

 

さて、高校卒業から少しブランクがあり今回ライティングは勉強しない、と設定して計算してみましょうか。

 

3000時間(必要勉強時間)

― 1600時間(高卒)

ー 750時間(ライティング用の勉強時間)

+ 600時間(ブランク)

= 1250時間

 

ライティング用に費やすであろう時間はマイナスしました。

750時間としたのは、英語がリスニング・スピーキング・リーディング・ライティングの4本柱から成っているので、単純に3000時間を4で割った数字にしました。

ブランクがある場合は習ったことを忘れているはずなので必要勉強時数に600時間を足しました。

あくまで目安ですが、今後の必要な勉強時間数は1250時間となります。

 

あなたならこの1250時間に対してどれくらいの勉強期限を設定しますか?

10ヵ月? 12ヵ月? 15ヵ月?

もし一日3時間に設定したら、一年と二カ月弱になります。

 

さあ、あなたの勉強時間数と期間はどれくらいになりましたか?

 

自分の必要学習時間の計算が難しければ、ざっくり「1日3時間を1年間」と決めてしまっても良いと思います。

 

人それぞれ状況は違うので一概には言えませんが、英語の場合まったくゼロからのスタートという人はほとんどいないはずですし、今回はライティングの勉強は省いていますので、2年以上の設定だったらそのローンプランは破綻する可能性が高いでしょう。

長引けば長引くほど利子(記憶の忘却)がついて必要勉強時間が増えてしまいますし、そもそも「意志力」が続かないでしょうから。

 

このようなことを書くと、

 

「厳しすぎる!」

「せっかくのヤル気を削がないでよ!」

 

と思う方もいるかもしれませんが、まったく逆です。

 

むしろ「一日10分だけ、楽な勉強をするだけで大丈夫」とそそのかされて、この先20年、30年とまんぞくな英語も話せず、細々と勉強を続けていくことになるほうがよっぽどゾッとしませんか?

一定期間だけ頑張りに頑張って、残りの人生を楽しいエンタメ教材で補強しながら英会話を楽しめたほうが断然良くないですか?

 

人生はあっという間に過ぎていきます。

失った時間は二度と取り返せません。

 

あなたの大切な時間とお金を費やすべきものが何なのかを、いったん立ち止まって真剣に考えることも重要です。

 

世の中には英語以外にも有意義なものがたくさんあるので、「あ、自分はそこまで頑張れないな」と思ったら、英語学習はきっぱり諦めるというのも決して間違った選択ではありません。

 

それでも「私は英語で会話ができるようになりたい!」と思った人だけがスタート地点に立てば良いのです。

 

戦いは勝つためにするのです。

負ける戦いは最初からしてはいけないのです。

覚悟を決めたなら短期決戦で必ず勝ちを収めましょう!

 

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